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■『戦旗』1613号(2022年5月5日)4―5面

  22春闘でおし進めた闘い
  階級的労働運動の構造建設を

                       中央労働運動指導委員会





 継続するコロナ危機の下での二二春闘は、大企業本工労働組合への満額回答と、中小零細企業労働者・非正規雇用労働者の賃金低迷との、深刻な格差・分断が示されたものとなった。また春闘さ中、ロシアによるウクライナ侵略がおこなわれ、それをめぐって大きく世界が動き、分裂を深める中での春闘となった。
 大企業本工労働組合は別として、後に触れるが春闘は賃上げ交渉にとどまらない側面を持っている。政府、資本が嫌がるのが「横並び春闘」と言われる側面である。経団連や経済同友会などを組織して大資本家階級は連携を取り、労働者の闘いが企業や雇用形態の壁を破り、階級としての団結に向かうことを徹底して阻もうとしている。そのために大企業本工労働者を飼いならし(餌付けし)、分断を見せつけ、闘っても無駄だというアピールを発している。
 先進的労働者は、今春闘においてどのようにこれをうち破り、労働者の階級的団結をおし進めたのだろうか。


●1章 春闘とは何か

 春闘と言っても、今や多くの職場では実感がない状況となっており、この数年、経団連などは「横並び春闘は終わった」と宣言してきた。そして大企業本工労組を対象に、「春闘ではなく春季賃金協議」であると、業績に応じた賃金配分を協議するとの対応を取ってきた。大企業本工以外の中小零細・非正規雇用労働者はもちろん、「労働者性」をはぎ取られた請負・委託やギグ労働者らも、埒外に置かれている。これを食い破ろうと先進的労組・労働者が春闘を闘っているというのが、現在の構図である。
 労働運動にとって経済闘争は、労働者やその家族の生活・生存を守れるだけの賃金を求める闘いである。労働組合を弱体化させた以降の、今の大企業の内部留保を見れば明らかだが、経営(資本)の強欲さは、抵抗勢力がいなければ際限がない。資本と労働者の利益配分は対立する。この資本の強欲な搾取に対し、抵抗にたちあがった労働者は、より一層深く広い横並び団結の重要性に直面していくのである。
 春闘は、今から半世紀以上も前に、その形を取った(一九五五年)。敗戦直後の日本労働運動が、米帝GHQや日本の政府・復興資本家たちによって大弾圧を受け、打ち砕かれた中から誕生したものである。戦後労働運動指導部は、世界の主流であった産別労働運動を根付かせることは出来ず、電力や自動車産業で広がった産別的結合を現場から打ち砕かれ、企業内労組に押し込まれた。押し込まれたまま、「闇夜はお手てつないで行こう」と春季同時期に全国一斉に賃金要求を掲げ、高く取れるところを水準にして全体の賃上げを推進していくというのが春闘方式であり、総評労働運動の中心的闘いの一つとなった。転んでもただでは起きないという逞しいものであったが、打ち砕かれた産別結合(産業別労働組合)の実際の団結や思想は置いたままとされた。むしろ産別労働組合の放棄・否定や、産別結合を下から崩した労使協調主義者が中心となるなど問題を多くはらんだものであった。企業別組合の連合を産別と呼ぶなど日本的混乱(欧米にはあり得ない)もバラまき、企業別労働組合運動を固定化し、労働運動の衰退を引き起こしていく基盤ともなった。
 それでも、米帝のアジア侵略反革命戦争の兵站拠点として、戦後日本の経済復興=右肩上がりの高度経済成長が続いている間は、この春闘方式はそれなりにうまく機能してきた。大企業の高い妥結水準が波及する要素も少しはあった。しかし全世界的にそうであるが、世界大戦後の復興が収束に向かい、また、力をつけてきた第三世界諸国で、資源ナショナリズムなどの動きが起こる中で、一挙に低成長期へと移行していく。そんな一九七〇年代には、この春闘方式も陰りを見せ、社会的推進力を失っていった。とともに総評は力を失い、大企業本工主義の利益を軸にした連合と、その他へと労働運動は分解していった。
 このような歴史的経緯を持つものであるが、賃上げなどの経済要求を全国的規模で集中して取り上げる春闘のような闘いは、労働組合にとっては極めて重要である。春闘という社会的動きがなければ、中小零細企業などでは声をあげることすら難しいだろう。
 問題は、不安定雇用者や低賃金労働者、そして労働者としてさえ認められていない働く人々が、雇用・賃金・労働条件について声をあげることのできる、本当の横断的団結を築き上げられているのかどうかである。闘う労働組合運動にとって、春闘の中では、これにこたえていくことが課題となっている。


●2章 三〇年間、賃金が下がり続けた日本

 この三〇年間、日本の賃金は下がり続けた。経済協力開発機構(OECD)の二〇二〇年の調査(物価水準を考慮した「購買力平価」ベース)によると、一ドル=一一〇円とした場合の日本の平均賃金は四二四万円。三五カ国中二二位で、一位の米国(七六三万円)と三三九万円も差がある。この間、韓国は一・九倍に急上昇。日本は二〇一五年に抜かれ、いまは三八万円差である。
 この賃金低下は構造的な問題であり、この構造から脱却しない限り、今後も賃金低下は続く。そもそも資本主義的生産は、その技術的進歩とともに雇用すら保障されない多数の不安定雇用労働者、委託・自営業もどきの労働者を生み出さざるを得ず、貧困で社会が底割れしていく傾向を持つ。いま世界中の資本家たちが推し進めている「第四次産業革命」と、ウクライナ侵略戦争を契機にしたナショナリズムと戦争の時代は、これにいっそうの拍車をかけていくだろう。これを押しとどめることができるのは、労働組合・市民運動・被差別大衆の連携した闘いだけである。
 構造的問題とは、産業そのものもあるが、非正規雇用労働者・非労働者の烙印を押された労働者群の拡大と、これらの労働者に閉ざされた企業別組合の横行である。
 一九八〇年代には労働人口の15%だった非正規労働者が、今では40%近くまで増えた。さらにコロナ危機の中で明らかになったが、雇用にありつけないだけでなく、不安定・低賃金・劣悪条件に加え、パワハラや差別に満ちた職場を忌避し、委託や自営、フリーランスなどの様々な名前で働く労働者が増えた。ここには社会保障も何もなく、コロナ事態や経済危機が来れば、ひとたまりもなく生活の糧を失うような状況である。社会の不安定さが増しているのである。
 経済成長期には、高額賃金妥結を水準にして全体の賃上げへと波及させていく役割を辛うじて果たしていた企業内労組は、今では、全体の賃上げや非正規用労働者の待遇改善を求める闘いに対して、企業と協調して抑止する役割を果たしている。それが顕在化したのが一九九七年の山一証券の破綻など金融危機で倒産が相次いだ時期である。大企業本工労働組合はリストラを防ぐことを優先し、「非正規雇用は雇用調節の安全弁だ」とする企業内労組の本音を全面化した。
 その後、企業業績は改善したが、この構造はいっそう深まっていく、二〇〇八年のリーマンショックの際には、経営・資本家は「雇用か賃上げか」と大企業本工労組指導部を恫喝し、長期的に固定費の負担が増える賃上げ(ベースアップ)を拒否、かわって本工のみ業績に応じた賞与での還元を提案、賃金の継続的な上昇の根を断ってしまった。こうして企業の低賃金政策は功を奏し、業績が回復しても労働者や社会に利益を還元せず、内部留保と海外投資にひた走り、賃金が低いままになるという悪循環が生まれたのである。
 このような賃金停滞と貧困化の進行は、圧倒的多数の労働者の可処分所得を減らし、消費を抑制し、デフレ社会をもたらした。国内消費が落ち込み、弱い企業を直撃する事態となった。しかし資本家たちの強欲はやむことはない。そこで安倍・菅・岸田政権が持ち出したのが「官製春闘」なる代物である。大企業本工労働者との「出来レース」という茶番が見え見えの「官製春闘」は、低賃金がもたらすデフレ悪循環を問題としてあげながらも、日本社会が地滑り的に落ちていく貧困社会を何ら解決するものではなく、大企業本工労組との蜜月状態を深めるだけのものである。
 資本主義とりわけ新自由主義は、すべての人々に弱肉強食を強い、互いをバラバラにし差別分断していく。国労つぶしや関生弾圧のように時には暴力的に団結を破壊しながら。非正規雇用の拡大と企業内労組の「大企業正社員クラブ化」が進む中で、労働組合が基盤としてきた職場団結は失われ、労働者はバラバラの個人にアトム化されてきた。資本家階級は、労働者階級が対等の勢力として成長することを阻むために、極めて意図的に労働政策をうってきたのである。
 これをうち破っていくためには、貧困や社畜扱いからの解放を求める労働者の闘いを、資本家階級に対する長期にわたる組織だった闘いへと編み上げていく労働組合運動の仕組みの構築が必要である。『戦旗』二月五日号の中央労働運動指導委員会論文で詳しく述べているが、産別(業種別)労働組合を縦糸とし、地域ユニオン(合同労組)・一般労組・地区労交流会など企業を超えた地域労働運動を横糸とし、その地域的結合体を全国各地につくり上げていく長期的戦略をもって闘いを進めていくことが必要である。


●3章 時代を変えるコロナ危機とウクライナ侵攻

 コロナ危機とウクライナ侵攻は、一九九〇年代以降全面化した帝国主義グローバリゼーションの世界を、大きく変貌させようとしている。
 いわゆる「東西冷戦体制」が崩れて以降、巨大多国籍企業が地球上のどこへでもほしいままに侵出し、帝国主義的グローバリゼーションが進められてきた。巨大多国籍企業は、工業や農業をとわず世界的規模での競争をくり広げ(メガコンペティション)、世界的規模でのサプライチェーンや流通網を築き上げ、国内産業は衰退していわゆる中間層の没落が進み、労働者は搾取強化・使い捨て・非正規雇用化に見舞われてきた。
 この時期には欧米で「平和の配当」論が台頭し、「冷戦」に振り向けられていた軍事費を経済力回復やODAに振り向ける動きがアメリカやドイツでは起こっている(だからと言って強盗的侵略戦争がなくなったわけではない。米帝によるアフガニスタン、イラク戦争がいい例だ)。
 帝国主義グローバリゼーションがもたらす社会の急激な変化や不安定化、格差の拡大(中間層の没落)は、欧米帝国主義内に排他的ナショナリズムを引き起こした。ラストベルトに依拠したトランプの「アメリカ・ファースト」、イギリスのEU離脱、欧州諸国での極右勢力の台頭などである
 二〇一六年頃から、帝国主義諸国は「第四次産業革命」をうち出し、低迷しつつある企業利益の抜本的底上げを狙い、IoTやAIを使った革新的技術によって労働生産性を劇的に向上させることをうち出した。
 順調に進むかに見えた帝国主義グローバリゼーションに大きな亀裂を入れたのが、コロナウイルスによるパンデミックとロシアによるウクライナ侵攻である。パンデミックは、世界各国での入国制限を引き起こし、サプライ網は機能しなくなり、グローバリゼーションという世界経済は機能不全に陥った。各国の国家的機能が大きくなり、世界各地でナショナリズムが発露するような事態も起こっている。
 そして今年二月、ロシアによるウクライナ侵攻である。フェイクニュースが飛びかい、長い歴史的経緯のあることなので、簡単に事態を概括することはできない。また、いかなる理由があろうと、他国の主権と領土と人命を軍事力で蹂躙する等、決して許されることではない。しかしウクライナ東部が、長きにわたって紛争状態にあったことは誰もが知ることであり、二〇一四年のクリミア併合の際、ロシア・ウクライナ・フランス・ドイツの四ヵ国でミンスク合意という停戦協定が交わされている。米帝は、これに深く関与しており、ウクライナ軍への軍事訓練やミサイル防衛システム配備の示唆など、ロシアを挑発するような活動をおこなってきた。そして今年初頭には、ロシア軍がウクライナ国境付近に集結していることを明らかにし、戦争の可能性に触れていた。
 しかし侵攻の前も後も、安全保障についての平和交渉の場は、世界の支配勢力であるどの帝国主義からも働きかけられることはなかった。戦争を煽るかのように、欧米帝国主義はひたすら大量の武器供与をウクライナにおこない、対ロ制裁に「西側」の結束を呼びかけた。ロシア侵略への対抗策であるとしながら、大量の武器供与は、ウクライナの戦争状態を泥沼化させ、憎しみと戦争熱を高め、民衆への犠牲を拡大し続けている。
 各国帝国主義は、軍事費の増強へのかじ切りを始めている。日帝内部でも「核の共有」「敵基地先制攻撃」「南西諸島防衛」「改憲」の声が一層高まってきた。これらに高笑いしているのがアメリカ軍需産業だ。アメリカの国防長官ロイド・オースティンが、かつて重役だった世界第一のミサイルメーカー・レイセオン社はウクライナにスティンガー・ミサイルを提供、株が6%上昇。ジャヴェリン・ミサイルの製造元(レイセオンとロッキード・マーチンの合弁)は38%上昇。ロッキード・マーチン社はF35戦闘機を提供、14%の株価上昇、という具合だ。
 また八〇〇〇項目を上回る対ロ制裁は、世界の金融や貿易、エネルギー、科学技術、食糧、産業チェーン、サプライチェーンを分断している。すでに原油高やレアメタル・小麦不足などが始まっているが、深刻な経済危機を引き起こす可能性をはらんでいる。米帝・バイデンなどはロシアの原油に代わって生産コストが高いシェールオイルの商機だとほくそえんでいる。だが資源もなく食料自給率も低い日本はとくに、この直撃を産業や暮らしに受けることになる。にもかかわらず、前章で明らかにした低賃金構造は決して改善されることなく、失業・反失業を拡大しながら多くの労働者を苦しめていくことになるだろう。


●4章 戦争と生存権破壊と闘う労働運動を

 「資本主義の危機」が叫ばれて久しい。昨年はダボス会議で「グレートリセット」と新自由主義を見直す提案がおこなわれた。岸田政権は、中身は不明だが、「新しい資本主義」をうち出している。これらを一蹴するかのように、米帝はウクライナ侵攻を絶好の機会とばかり「新冷戦」を演出し、「西側」に結束を呼びかけ、軍事同盟の強化を打ち出している。
 温暖化の進行による地球規模の環境破壊や、深刻化する格差と貧困、これに追い打ちをかけるように、各国でのナショナリズムの台頭、戦争の不安といったものが世界を覆おうとしている。もはや帝国主義―巨大資本が地球を支配し続けることは無理なのだ。
労働者・勤労人民、被差別民衆を主人公とする世界への転換が必要である。そのために労働者・勤労人民、被差別民衆の団結、連帯の仕組みを闘いの中で作り上げていくことが必要である。
 労働運動で言えば、一つは、各産業において闘う産業別(業種別)労働組合運動を切りひらいていくことである。企業内労組の連合だけで産業別労働組合は組織できない。産業別労働組合には、産業構造に応じた連帯の思想と仕組みが必要である。日本の産業には大企業と下請け、孫請け、関連会社に明確な支配関係があり、賃金・労働条件も全く異なる差別分断構造の上に存在している。これを食い破る連帯思想がなければ産業別労働組合は作れない。そのために雇用形態や国籍・性別を問わない均等待遇、同一労働同一賃金が、労働者の雇用・賃金を守るという鉄則を組合内に染み渡らせることが必要である。封建的土建業の劣悪条件との壮絶な闘いから生まれた全日建連帯労組関生支部や、港湾荷受け日雇いの闘いから成長してきた全港湾など、産業別労働組合へと闘いを進めてきた先進例もある。これが日本労働運動に大きな影響を与えることを政府―資本家階級は恐れており、この数年、大弾圧を進めてきている。この攻防に負けるわけにはいかない。闘う労働組合潰しと闘い、これら先進例を他の労働運動分野に押し広げていかなければならない。
 そしてもう一つは、全国各地の地域ユニオン(合同労組)・一般労組(ゼネラルユニオン)など企業を越えた地域労働運動を強化していくことである。これらは、アトム化され職場で孤立・分断状態にある労働者に開かれた窓口であり、居場所であり、集団交渉・行動の身近な地域の応援仲間を得られる場所である。力のあるユニオンは職場分会を広げ、労働組合から離れたところにいる労働者に最低賃金キャンペーンの声を届けたり、労働者の権利の啓発を発信するなどの社会的役割を担っている。貧困化が進む中で、財政や世代交代の困難に直面しているが、一人でも・誰でも入れる駆け込み寺としての重要な位置を持っている。
 これからの産業再編と労働者の分解、貧困化し荒廃していく社会の中で、弱肉強食・万人の競争によって解体された個々バラバラの労働者を、自己防衛と自己解放のために、資本家と対峙する社会勢力・団結体の主体へと成長させていく有力なツールとして各地に産業別労働組合と地域労組を縦糸・横糸とする階級的労働運動の仕組みを編み上げ、種々の攻防の中で成長させていくことが必要である。
 さて二二春闘である。中小零細企業労働者・非正規雇用労働者を置き去りに、大企業本工労働組合への満額回答が実現したことは既に述べた通りである。
 では闘う労働運動は、どのように春闘を闘ったのか、闘い続けているのかである。
 昨年一二月五日、闘う労働組合が結集し、けんり春闘発足学習会において公式に二二春闘がスタートした。そのテーマは、「誰ひとり取り残されない社会」、「八時間働けば生活できる賃上げ」、「政治を労働者市民の手に取り戻そう」である。
 サブスローガンは次の通り。
○労働者の生活とけんりを守ろう!(どこでも誰でも時給一五〇〇円、月額二五万円以上の賃金保証など)
○公務・公共サービス労働者、会計年度任用職員の雇用保障と処遇改善を!
○外国人労働者に労働基本権と安心して生活できる環境を!
○九条改憲阻止! 沖縄辺野古新基地建設阻止!
○原発再稼働阻止! 老朽原発を稼動させるな!
○すべての争議に勝利しよう!
 このスローガンの下、各地での春闘が闘われた。
 柱の一つは、最低賃金の全国一律時給一五〇〇円要求運動の全国的展開である。「誰ひとり取り残さない」という観点から、非正規労働者、外国人労働者、フリーランスで働く労働者の生活改善要求の中心課題として、全国一般労働組合全国協議会を軸に各地での取り組みが推進されている。
 そして差別賃金・待遇是正要求である。この数年、郵政産業労働者ユニオンが、労働契約法二〇条を使って非正規雇用労働者の差別待遇是正の集団提訴をおこない、休日や病休、福利厚生など勝利的判決を勝ち取ってきた。しかし労使交渉では、正社員の待遇を削っての待遇の均等化をはかろうとする郵政当局との攻防がおこなわれている。三月一八日には全国九拠点・一六職場でのストライキをおこなった。また同一労働同一賃金を求めるキステムの闘いが、宮城合同労組によって開始された。
 外国人労働者の低賃金・人権蹂躙・使い捨てに対する闘争も焦点の一つとして闘われた。残念ながら恒例のマーチ・イン・マーチはコロナのため中止となったが、各地での技能実習生に対する争議支援、入管難民法の改悪阻止や包括的な移民政策を求める声もあげられた。
 これらを共通課題としながら、各地で、集団交渉や総行動が行われた。この動きを一過性のものにするのではなく、企業内から業種別・産別へと闘いを広げ、また業種・産業を超えた地域的連携へと、労働組合の闘いと団結を押し広げていくことが課題である。その萌芽は、このけんり春闘の闘いの中に存在している。
 春闘のさ中、ロシアによるウクライナ侵略戦争が起こり、戦争即時停止、ウクライナ民衆連帯と、ロシアを含む労働者・民衆の反戦闘争支持があげられた。地球環境破壊、貧困―生存権破壊に対する闘いと並んで、反戦・反帝・国際連帯は今後の大きな課題である。これについては、紙面の関係上、詳しく触れることは出来ないが、極めて重要な課題となっていく。

 



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